らんちゅうは「金魚の王様」と言われ、上から見て観賞する金魚の代表的な品種です。背鰭がなく、小判型の体に尾鰭がつき、頭部にコブがあるのが特徴で、姿形の良し悪しを重視し、併せて泳ぎの良し悪しも観賞する上での大事なポイントになります。錦鯉と違い、模様の良し悪しより姿形が重要ですが、最近では更紗(紅白)を好む傾向になってきました。 らんちゅうを横から見ると、独特な櫛型(くしがた)をした体形で、特徴の一つである背鰭のない背中の形を背なり(背型)と言い、体形の長めの魚を「長手の魚」、体形の短めの魚を「丸手の魚」と呼びますが、どちらが優れているかは、全体のバランスによりますので一概には言えません。 頭部の肉瘤(にくりゅう)(コブのこと)が発達して良く出ていることを、「頭(かしら)の出が良い」という言い方をしますが、肉瘤の出かたも形によっていろいろな呼び方があります。たとえば、竜の顔つきに似ているところから名付けられた「竜頭」(たつがしら)や、その他、頭部の肉瘤の発達の仕方により「兎金頭」(ときんがしら)とか、「獅子頭」(ししがしら)と言う呼び名の形もあります。らんちゅうは、長年の改良によって頭の肉瘤が発達してきましたが、肉瘤の形一つとっても見ても、人により好みもありますし、その形にも流行があります。 尾鰭の形は、左右均等で、適当な張りが必要で、「前かがり」のあるもの(尾鰭左右の親骨が弧を描いて、付け根より前に発達してゆっくりとさがっているもの)が良いとされ、好まれています。尾鰭の親骨が強く左右に張りすぎると、泳ぎが不自然になりやすいので注意が必要です。らんちゅうの泳ぎ方は品評会での大切な審査対象です。スムーズに泳ぎ、止ると尾鰭がパッと開くような、華やかで美しく優雅な泳ぎ方をする尾形に育てるのが腕の見せ所となります。 更に、尾筒の太さも重要なポイントで、太いほどいいですね。このような魚の太さも飼育技術で大きく変わりますので、飼育の大切なポイントになります。 しかし、腰が高い(横から見た時の、腰にあたる部分)と、上から眺めた時に尾筒が太く見えますが、本当の意味での太さとは違いますので注意が必要です。 らんちゅうは飼育技術により姿形が大きく変わり、どんなに良い素質を持った魚も育て方で普通の魚になってしまったり、少々欠点があっても上手に育てれば品評会でも活躍する魚になったりします。それほど飼育技術の差が大きく出る奥の深い魚で、錦鯉とは違った楽しさが多くあります。
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