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らんちゅう歳時記 入門編1


はじめに
 らんちゅうの飼育を始めてみたいと言う皆様に、らんちゅう飼育の楽しさをお伝えできるようにと思い書いてみました。既にらんちゅう飼育を楽しんでいらっしゃる方にとっては、ご存知の事ばかりかも知れませんが、今後少しずつでも充実させていきたいと思っていますのでよろしくお願い申し上げます。
 錦鯉の月刊誌「鱗光」に、2002年6月号から「らんちゅう歳時記・初歩から始める入門編」として掲載して頂いています文章に、書ききれなかったことを加えて載せています。

錦鯉専門誌「鱗光」のお問い合わせは、下記までお願いいたします。
新日本教育図書株式会社 山口県下関市長府扇町9−2 Tel0832−49−1151

らんちゅうの特徴
 らんちゅうは「金魚の王様」と言われ、上から見て観賞する金魚の代表的な品種です。背鰭がなく、小判型の体に尾鰭がつき、頭部にコブがあるのが特徴で、姿形の良し悪しを重視し、併せて泳ぎの良し悪しも観賞する上での大事なポイントになります。錦鯉と違い、模様の良し悪しより姿形が重要ですが、最近では更紗(紅白)を好む傾向になってきました。
 らんちゅうを横から見ると、独特な櫛型(くしがた)をした体形で、特徴の一つである背鰭のない背中の形を背なり(背型)と言い、体形の長めの魚を「長手の魚」、体形の短めの魚を「丸手の魚」と呼びますが、どちらが優れているかは、全体のバランスによりますので一概には言えません。
 頭部の肉瘤(にくりゅう)(コブのこと)が発達して良く出ていることを、「頭(かしら)の出が良い」という言い方をしますが、肉瘤の出かたも形によっていろいろな呼び方があります。たとえば、竜の顔つきに似ているところから名付けられた「竜頭」(たつがしら)や、その他、頭部の肉瘤の発達の仕方により「兎金頭」(ときんがしら)とか、「獅子頭」(ししがしら)と言う呼び名の形もあります。らんちゅうは、長年の改良によって頭の肉瘤が発達してきましたが、肉瘤の形一つとっても見ても、人により好みもありますし、その形にも流行があります。
 尾鰭の形は、左右均等で、適当な張りが必要で、「前かがり」のあるもの(尾鰭左右の親骨が弧を描いて、付け根より前に発達してゆっくりとさがっているもの)が良いとされ、好まれています。尾鰭の親骨が強く左右に張りすぎると、泳ぎが不自然になりやすいので注意が必要です。らんちゅうの泳ぎ方は品評会での大切な審査対象です。スムーズに泳ぎ、止ると尾鰭がパッと開くような、華やかで美しく優雅な泳ぎ方をする尾形に育てるのが腕の見せ所となります。
 更に、尾筒の太さも重要なポイントで、太いほどいいですね。このような魚の太さも飼育技術で大きく変わりますので、飼育の大切なポイントになります。
 しかし、腰が高い(横から見た時の、腰にあたる部分)と、上から眺めた時に尾筒が太く見えますが、本当の意味での太さとは違いますので注意が必要です。
 らんちゅうは飼育技術により姿形が大きく変わり、どんなに良い素質を持った魚も育て方で普通の魚になってしまったり、少々欠点があっても上手に育てれば品評会でも活躍する魚になったりします。それほど飼育技術の差が大きく出る奥の深い魚で、錦鯉とは違った楽しさが多くあります。

らんちゅうの飼育池
 らんちゅうの飼育池は、青子でも親魚でも、最低3時間以上は日光が当たる日当たりの良い場所で、風通しの良い場所であれば、容器はコンクリートのたたき池でもFRPの水槽でもかまいません。水深も20センチくらいあれば良く、FRPのらんちゅう池もいろいろと市販されていますし、工夫をすれば身近な物が飼育容器として利用できますので、手軽にらんちゅうの飼育を楽しんで頂けるものと思います。私も昔は、木の枠にポリエチレンシートを張った手作りの池や、洗濯用の金ダライを利用して飼育していたことがあります。
 古くなった池の水を新しい水に替えるために、新しい水を張り1日(水温の高い時期)〜3日(水温の低い時期)エアーレーションをして汲み置きした池へ、魚を移し替えることを「水替えをする」と言いますが、らんちゅうは5日から7日間隔で、次々と水替えをするので、汲み置きの水を作るために池や水槽に余裕があれば便利です。池に余裕のない場合は、汲み置きの水を作るタンクなどが必要になります。

産卵
 らんちゅうは、飼育環境や飼育技術により成長や姿形が変わりますので、育てることを作ると表現をします。自分が理想とする魚を作るための第一歩として親魚を選ぶわけですから、子供に長所が遺伝するように、良い系統の魚で、頭(かしら)・尾形・背形・太さなど親に向く魚を選ぶことが大切です。逆に、遺伝する欠点があり、親に向かない魚がいるので注意が必要です。
 親魚にするにはオスもメスも、成熟した3歳から4歳くらいの魚が良いでしょう。(最近では、当歳で魚を大きくするので、2歳魚で子取りをする方も増えています。)
 春、水温が18℃〜20℃の頃に産卵しますが、メスが卵を持つのは前年の秋ですので、産卵のためには前年や越冬の管理が大切になります。
 越冬した親魚は水温が上がり始めると、オスには胸鰭やエラぶたに、ザラザラとした白い点々状の追星(おいぼし)が出ますし、メスは腹が大きくなりゴム毬のように柔らかくなってきます。この時期に、オス・メスを一緒にしていると勝手に産卵してしまいますので、越冬開けの水替えのときにオス・メスを選別して必ず別々に飼育し、水替えや餌を控え産卵の引き金になるような刺激を与えないようにしながら、メスの卵が成熟しオスが発情するのを待ちます。(メス魚だけでも、こらえ切れずに産卵してしまう場合もあります。)
 1週間くらい天候の良い日が続く頃を選び、汲み置きをした新しい水の池へ、卵を産み付ける藻を用意して、オス2・メス1くらいの割合で発情した親魚を入れます。(大潮の時に産卵しやすいといわれます。)
 天然の藻は最近では入手が難しく病気や害虫の心配があるので、私は市販の人工藻を使用しています。親魚を午前中に産卵用の池に入れれば、新しい水に入れることが刺激となり、ほとんどが翌日の明け方から午前10時頃にかけて産卵します。産卵の準備が午後からになったり、親魚が完全に発情していないような場合は、産卵が2〜3日遅れる事がありますが、それ以上遅れるようなら、新しい池と親魚に換えて準備をしなおします。
 産卵の始まる時間は、通常の朝の餌やりの時間と関係があるともいわれます。(餌やりが早いと早く始まり、餌やりが遅いと遅く始まるようです。)産卵の始まる時間が遅い場合は、朝の餌やりの時間を早めてやると、翌年は早い時間に産卵が始まるかもしれません。
 産卵の終わった親魚はオス・メスを分けて、他の魚がいない新たな池へ放して疲れを回復させます。産卵前の他の親魚といっしょにすると、他の魚が一斉に発情してしまうことがあります。

針子(毛子)
 産まれた卵は水温の変化がないように管理し、18℃〜20℃の水温ですと4〜5日で孵化(ふか)します。孵化したばかりの稚魚は、細い針の先のように見えるので針子(はりこ)や、髪の毛の先のように見えるので毛子(けご)などと呼ばれます。
 孵化直後は、腹に卵からの栄養分を持っているので餌を食べませんし、池の壁や藻にくっついてじっとしています。孵化後1日〜3日で泳ぎだして餌を食べるようになりますが、この時期を見逃さないように、ミジンコやブラインシュリンプの子供を与え始めます。ミジンコは小さなプランクトンですが、それでも最初のうちは、その小さなミジンコから生まれたミジンコの子供しか食べることができませんので、らんちゅうの針子(毛子)が泳ぎ始めるタイミングで、池の中にミジンコの産まれたばかりの子供がいるようにしてやらなければなりません。ブラインシュリンプ(アルテミア)も、その時期に合わせて卵が孵る(通常24時間以上かかります。)ように準備する必要があります。餌を与えると目に見えて大きくなるので楽しみです。
 ミジンコは田んぼや池などに自然にわきますが、水槽に水を張り、完熟鶏糞・パン酵母・最近広告に出ているカニガラ製品などの餌となる物を入れて、種になるミジンコを入れると増やすことができます。
 昔はミジンコが自然にわく時期に合わせて産卵させていましたが、最近では加温して早春に産卵させ、ブラインシュリンプを利用して育てる人が増えています。

青子と青水
 らんちゅうの基礎は、青子の時期に形作られると言っても過言ではありません。飼育管理には十分な注意が必要で、餌も吟味したものを与える必要があり、飼育者の腕の違いが大きく出ます。
 餌は、ミジンコやブラインシュリンプなどの動物性プランクトンや、青子が少し大きくなれば赤虫(ユスリ蚊の幼虫)などの生きた餌が、成長が良くて水の汚れも少ないなど理想的です。最初の1週間ほどは、生きたミジンコやブラインシュリンプが必要ですが、その後は市販の冷凍ミジンコや、青子が成長すれば冷凍赤虫などが生き餌の代わりに利用できるようになります。
 餌を食べ始めると日に日に成長し、針の先のようだった稚魚も、徐々に尾ひれが付いているのが分かるようになり、2週間ほどで尾鰭の開きで選別ができるようになります。ここで、尾鰭の開いた魚だけを残し、尾鰭がフナ尾(フナのような開かない尾鰭)や開きの悪い魚、体の曲がった魚をハネて、1回目の水替えをします。
 その後、5日から1週間間隔で水替えをし、同時に選別をします。青子の成長に合わせて、尾鰭の開きが悪い・ちぢれ・左右の不揃い・サシ(尾芯が、尾鰭の付け根の鱗のある部分まで入っていること)などの尾鰭の欠点や、帆柱と言われる背鰭の痕跡のある魚や背中がでこぼこした魚、体や尾筒に曲がりのある魚、泳ぎ方が不自然な魚など、欠点のある魚を見つけてハネていきます。水替えの度に選別を繰り返しますが、数を減らすことが、残した魚の成長を促進し、良い魚に育てるポイントになります。
 また、水替えから水替えの間は、エアーホースなどを使い、サイホンの原理で水圧を利用してフンや餌の食べ残しなどを吸い出し、水が減った分だけ汲み置きした水を足します。魚が大きくなると餌を良く食べフンをするので、毎日ゴミを吸い出すようになります。
 水替えが魚に与える刺激を減らすために、今まで魚が入っていた池の青水(アオコなどの植物プランクトンが繁殖し、青くなった水)を何割か足して使う水替え方法もありますが、私共の池は1日中日が当たり、水がすぐ青水になり傷みやすいので、冬季や春先以外は汲み置きした新しい水だけで水替えをしています。この水替えの間隔とタイミングで、成長や形にも差が出ますので、私は太みのあるらんちゅうを育てる水造りを心がけています。
 一般的に、水温の低い時期や日当たりの悪い池では、新しい水が青水になりにくいので、今まで魚が入っていた池の青水を多く混ぜて使い、水温の高い時期や日当たりの良い池では、青水になりやすいので、混ぜる青水の量を減らすかまったく使わず水替えをします。らんちゅうの本では、水深20センチの池の底が薄っすらと見えるくらいの青水なら良好となっていますが、それ以上濃くなると水が悪くなってきますので、程良い濃度の青水をいかに持続させられるかが問題となってきます。
 また、青水で飼育すると、縦方向への成長が抑制されますが、頭のコブの発達が良くなり、汲み置きした新しい水で飼育すると、縦方向への成長は良くなりますが、頭のコブの発達は悪くなる傾向にあり、ベテランの愛好家は、こうした水による成育の違いを利用して、らんちゅうの成長や姿形をコントロールしています。環境や飼育方法に合わせて、自分に合った水替えのコツを見つけ出してください。
 青水のもととなる植物プランクトンは、日中は光合成で酸素を出しますが、夜間は逆に酸素を消費しますので、濃い青水になった時は、夜間の酸素欠乏に注意が必要です。
 池の掃除はコケをあまりきれいに洗い落とさず、いつの時期でも池壁や底のコケを残す程度にしてください。このコケは、らんちゅうの貴重な餌になりますし、目に見えない水の汚れを軽減する働きもあります。

エラ病
 らんちゅうの飼育では、エラ病には注意が必要です。調子が良いと思っていると、強い日差しや水温の上昇の影響で急に水が悪くなり、半日水替えが遅れただけでエラ病になります。雨水が大量に入ったことによる急激な水変わりや急激な水温の低下、水替えが遅れたことによる水質の悪化、密飼いによる酸素欠乏も発病の原因となります。1尾でも餌を食べず元気のない魚がいれば、その池の魚はすべてエラ病を疑った方が良いでしょう。治療が遅れると全滅と言うことになりかねませんし、治ってもエラが開いた状態になり観賞価値が下がってしまいます。
 片方のエラが閉じたままで、もう片方のエラだけを動かしている状態は片エラと呼ばれ、エラ病の症状ですので、早期発見・早期治療を心がけてください。
 治療には、水槽やタライなどに0.5%の濃度の食塩水を準備し、熱帯魚用のヒーターなどで28℃〜30℃の水温を維持できるようにし、十分なエアーレーションをした中へ病魚を入れます。エラ病が治るまでは水が白っぽく濁りますので、毎日同じ濃度と温度の食塩水に水替えをして、数日かけて治るまで薬浴をします。エラ病が治ると、水が濁らなくなり、魚が餌を欲しがるようになりますので、それが合図となります。その後、水温を徐々に下げて、池の水温と同じになったら池に戻します。(最近では、水温を上げなくても治療ができる方法がいろいろと考えられています。後記の「私共の病気の予防と治療」の項目をご覧ください。)
 らんちゅうの場合、エラ病は避けて通れませんが、一度完治すると抵抗力がつき、次からはかかりにくくなり、もしかかっても症状が軽く治りも早くなります。初めてらんちゅうを飼育される方や、エラ病の治療に自信のない方は、一度エラ病が完治している魚を購入されるのも一つの方法かもしれません。

色変わり
 4月末から5月初めに生まれた青子は、6月中旬頃になると色変わりを始めます。青子や黒子と呼ばれたフナのような色が剥げるように下から薄い色が現れてきて、半月もすると赤色も濃くなり柄もはっきり分かるようになってきます。
 青水で飼育すると色彩が美しくなると言われますが、エラ病、酸素欠乏、水質の悪化には十分な注意が必要です。
 らんちゅうの模様にも、その模様の付き方によって、昔からいろいろな呼び名がありますし、好みや流行もあるようです。
 また、模様の付き方によっては、良いらんちゅうが細く見えてしまったり、曲がって見えてしまうような損な模様もありますし、逆にらんちゅうの良さを際立たせるような模様もありますので、品評会を目指すような人は、一喜一憂と言うところでしょうか。
 色変わりをしても、水替えの度に選別を繰り返し、尾形・背形・泳ぎなどで魚を厳選していきます。品評会を目指す方は、姿形を優先して厳しく選別し、観賞だけの方はらんちゅうとしての姿形のポイントを押さえた上で、模様や色彩の好みを加味して選別しても良いでしょう。
 自分の手で育てた魚には愛着がわきますし、色変わりをするとかわいらしさも一層増すのではないでしょうか。

これから、「鱗光」へ掲載して頂く都度、このページへも追加掲載して行きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。


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