らんちゅう飼育では、避けて通れないような病気です。 人間の「はしか」のように一度かかると次からかかりにくくなるエラ病・病原菌のタイプが変わって何度もかかるエラ病・最近問題になっている治りにくいエラ病など、症状が似ていても違うタイプのエラ病があります。
原因 1)水質や水温の急激な変化(雨水が大量に入った場合など)が引き金となる場合。 2)水温の低い時に高栄養の餌を与えて、栄養分がエラに蓄積されてしまい、時間を置いて発病する場合。 3)一度に大量の餌を与えた場合。 4)エラを通った、餌のカスなどがエラを傷つける場合。 5)水質が悪化して、水中の病原菌の数が多くなった場合。 6)水温が高くなり、水中の病原菌の数が多くなった場合。 7)ストレスなどにより、病気に対する抵抗力が落ちている場合。 8)酸欠により、過度の負担がかかった場合。 などが挙げられます。
病原体 フレキシバクター・カラムナリスなどの細菌類。(白点虫・ダクチロギルス・ギロダクチルスなどの寄生虫類がエラについても同じような症状になりますが、効果のある薬が違います。)
症状 最初は餌を食べなくなります。よく観察すると、餌をくわえても飲み込まずに吐き出す仕草を繰り返します。魚の習性として、2回から3回くらいくわえては吐き出す仕草を繰り返す場合がありますが、それとは違って最後まで餌を食べません。 病状が進むと、群れから離れてじっとしているようになります。さらに病状が進むと、水面に浮いてじっとしているようになり、中には時々思い出したように狂ったように泳ぐ魚もいます。 また、病気が進む間に、片方のエラだけが閉じたまま、または開いたままになったり、両方のエラが開いたままになったりします。両方のエラが開いた状態になると、かなり重症ですし、病気が治ってもエラが開いたままで観賞価値が下がってしまう場合があります。
治療法 0.5%の濃度の塩水を作り魚を入れ、水温を30度くらいまで徐々に上げて、治療中は餌を与えません。 病状の出た魚だけを隔離して治療する方法もありますが、私は病気の出た池の魚すべてを別の容器(鯉用のタライ)へ入れて治療しています。 エラがやられると呼吸困難になるので溶存酸素量を増やすためと、水中の塩分濃度が均一になるように、魚が流されるくらいに強くエアーレーションをして、毎日同じ水温と塩分濃度の塩水に替えてやります。 エラ病が治るまでは水が白く濁るので、水が濁らなくなり、魚が餌を欲しがるようになるまで毎日水替えを繰り返します。愛好家によっては、塩とテラマイシンか、塩とエルバージュを併用される方もあります。 これで大抵のエラ病は治りますが、新しいタイプの治りにくいエラ病の場合は治らないことがあるそうで、特に治療が遅れると数日の間に全滅してしまうこともあるようです。皆さんが新しい治療法を試されていますが、今のところ確実に効果のある方法は無いようです。今後は薬の組み合わせ方や濃度、安定化二酸化塩素の使用が考えられています。
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