錦鯉でも、尾筒が太くてボリュームがあり、素直な体形をした鯉は見ていても気持ちがよくてあきがきません。らんちゅうも同じで、尾筒が太くて全体に太みがある魚は見ていてもあきがきませんし、ベテランの人に好まれるように思います。 私は、尾筒が太くて全体に太みがある魚にこだわり、私のらんちゅうの師匠の一人である京都の故宇野先生が作られた繊細な美しさを併せ持ったらんちゅうを目標に魚を作っています。太みのある魚と繊細な魚とでは相反するように思われるかもしれませんが、宇野先生の系統の魚が持つ鱗が細かくて並びがよく、美しい色彩を持ったらんちゅうで、尾筒が太くて全体に太みのある魚が目標です。 私が作ったらんちゅうが、日本らんちゅう協会の全国品評会で、当歳魚が東大関(日本一)、二歳魚が西大関を受賞できたのも、太みのあるらんちゅうにこだわって育てたことを評価して頂いた結果だと思います。 太みのある魚を作るポイントは、太みのある魚を親にして子取りをし、青子のうちから魚が十分に泳ぐ環境を作り運動をさせて、質の良い餌をたっぷりと食べさせることです。 十分に運動をさせて、たっぷりと餌を食べさせるためには、 @水替えのときに青水を使わずに、新水100%で水替えを行い常に魚に刺激を与える。 Aエアーレーションを強くして、池の中に強い水流を作る。 B魚が隠れて一服できるような日陰を作らない。 C適度な飼育密度にして、魚が競争するような状態にする。 D魚を病気にしない。 などが挙げられます。 質の良い餌という点では、できるだけ生き餌を与えるようにします。栄養成分の吸収が良くてビタミンやミネラルなどの微量栄養素を含み、水が汚れにくいなどの利点があります。 人口飼料はタンパク質の含有量が40%以上あるものまであり、自然界にある餌と比べると非常に高タンパクに作られています。最近ではらんちゅうのことを考えて作られた良い餌が多く発売されていますので、これらの良い餌を選んで使えば、色変わりのころからは人口飼料を中心とした飼育もできます。 しかし、いくら優れた人口飼料を与えても、魚が喜んで餌を食べて、さらにその栄養が効率良く吸収されるかどうかが問題となります。一般的に高タンパクの餌ほど消化が悪くなる傾向にあるので、高タンパクの餌は水温の高い期間だけにするなど水温に合わせて餌を選んで与え、消化酵素や免疫強化成分が配合された餌を選んで与えるのも良い方法でしょう。 このような飼い方は太い魚を作るために必要ですが、頭の発達や鱗の成長が体の成長に追いつかない、尾形が崩れやすい、エラ病などになりやすいなどの弊害が出やすいので、そうした点に注意する必要があります。
|